吉川 信 (きっかわ しん)
プロフィール
「イングリッシュ?ノヴェル」の誕生は、この国の植民地拡大と軌を一にしているようですが、その「ノヴェル」を実験的に破壊してみせたのは、最古の植民地アイルランドに生まれた作家でした。ジェイムズ?ジョイスの方法と様々な「イングリッシュ?ノヴェル」との関係に興味があります。思えば『ガリヴァー旅行記』を書いたのはアイルランド生まれのスウィフトでしたし、帝国の黄昏を描いたのはポーランド生まれのコンラッドでした。最近の「イングリッシュ?ノヴェル」を牽引しているのが、日本生まれのカズオ?イシグロというのも、とても面白いことだと思います。
[ E-mail ]kikkawas[at]otsuma.ac.jp
主な著書?論文
- 『ジョイスの罠』言叢社、2016年。
- 「亡霊メルモスの帰還――簒奪者たちのアイルランド」『亡霊のイギリス文学――豊饒なる空間』国文社、2012年。
- 『ジェイムズ?ジョイス全評論』(翻訳)筑摩書房、2012年。
担当科目
- イギリス入門
- 英文学入門
- 英米小説A
- 英文講読(発展)
- 基礎セミナー
- セミナーⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
- 英語ⅠC
- 卒業論文
ゼミの紹介
教員から
何を語るにせよ、テキストを精読するところから始めたい、と思っています。そのため1回の授業は遅々たる進行具合で、思ったように読み終えられないことしばしばです。自分のほうが、1冊を何年もかけて精読させるような作家を読んできたせいで、「神は細部に宿る」と信じているのかもしれません。できるだけ多くの作家?作品に触れてもらいたいので、短篇を扱うことになりますが、他方では、長篇をざっくり要約してもらうような回があってもいいな、と思っています。フランスやロシアの大長篇(翻訳)を夢中で読み耽るなんてことは、時間のある学生時代の特権です。母語にせよ外国語にせよ、精読と速読(乱読?)の両輪駆動が理想でしょう。読んで、考えて、書く――この繰り返しに馴染んでくれば、難しい英文も楽しくなること必定です。
学生から
このゼミでは、イングランドやアイルランドの様々な短編小説を読みます。毎週の予習は欠かせませんが、分からない所は先生が分かりやすく説明して下さるので、何も心配は要りません。先生が一方的に授業を進めるのではなく、私達も参加して授業が進んでいくので、とても知識が深まります。ゼミの雰囲気もとても和やかで温かく、先生と学生の仲も良いので、毎週この時間が楽しみです。