小井土 守敏 (こいど もりとし)
プロフィール
中世の軍記文学を中心に研究をしています。『平家物語』や『曾我物語』といった作品の生成過程と本文の変化?流伝について、文献学?書誌学的な見地からの実態解明に関心を持っています。また、軍記文学作品を読み込んでいくことで、中世という激動の時代をたくましく生き抜いた人々の生死観や美意識についても考えていきます。
軍記文学に深く関連する説話文学、また謡曲などにも研究対象を広げています。
主な著書?論文
- 『曽我物語 流布本』(武蔵野書院、2022)
- 『流布本 保元物語 平治物語』(共著、武蔵野書院、2019)
- 『二松學舍大学附属図書館蔵 奈良絵本 保元物語 平治物語』(新典社、2016)
- 『大妻文庫 曽我物語』上中下(共著、新典社、2013~2015)
- 『源平の時代を視る』(共著、思文閣出版、2014)
- 『長門本平家物語』一~四(共著、勉誠出版、2004~2006)他
担当科目 (シラバスを参照してください)
- 全学共通科目
- 沙巴体育投注_沙巴体育官网-在线app下载中世文学関係科目など
ゼミの紹介
教員から
武士階級の台頭と貴族の没落、たび重なる戦乱と末法思想――。中世という時代 はそこに生きた人々に、価値観の大きな転換を迫りました。『平家物語』を引くまでもなく、目の前で大切な人や物が損なわれていく現実に、人々は「無常」なるものを実感したことでしょう。しかし彼等は、下を向いてばかりではありませんでした。無常さえも肯定的に受け入れ、つかの間の平和を楽しみ、多様な文芸を創り出しました。それは中世人(ちゅうせいびと)のあふれんばかりのエネルギーです。
文学史上に見る“ジャンル”の多くが、この時代に生まれました。その多様なジャンルの多様な作品に込められた新しい価値観は、現在に生きる我々にも受け継がれています。そうした、昔と今の共通点を発見していくことは、深い人間理解にも繋がっていくはずです。
学生から
卒論ではひとつの作品を選び、先行論文も参考にしながら自分なりの読み方や考察を深めていきます。
私は『平家物語』を熊野との関わりを軸に読み解こうと思っています。きっかけは大学1年の夏休みに熊野古道を歩いたことです。自分がその場に立ったことで、熊野信仰の存在を身近に感じられるようになりました。
その後、あらためて『平家物語』を読むと、淡々と書かれている文章の中に作者の思いが感じられる箇所を見つけたり、当時の死生観や信仰心を推し量れる部分があったりと、気づかなかったものが見えてきて研究がどんどん楽しく なったのです。卒論では自分が感じた作品のおもしろさを、うまく表現したいです。
過去の卒論タイトル
- 『平家物語』における木曽義仲
- 熊野―『平家物語』を中心として―
- 崇徳院怨霊の変容
- 斎藤実盛像とその広がり
- 中世文学における天狗
- 話型から見る御伽草子
- 鴨長明の人物像